2年間実践済み!【正絹の洗える着物】の自宅クリーニング(動画あり)洗い方やリアルな着用感を満載!

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2年間実践済み!【正絹の洗える着物】の自宅クリーニング(動画あり)洗い方やリアルな着用感を満載!

「見た目の高級感も、着心地も、絹の素材が一番いい!」 と、わかっていても、ポリエステルから卒業できない人は多いはず。

これまで「洗える着物」というと、ポリエステルのセットがほとんどでしたが、伝統的な国産ちりめんや紬の着物を、「洗っても縮まない絹に加工する技術」は革新的。

忙しいわたしたちの救世主となり、お悩み解消してくれる【正絹の洗える着物】。この着物を購入して2年。筆者のリアルな使用感とメンテナンス記録を綴った詳細記録です。

わかりやすくお伝えするために、「着物を洗っている動画」「洗濯後、吊るし干しの動画」などを記事後半に掲載しています。

目次

必見!【実際に自宅で洗っている】動画約2分

 

ウォッシャブル加工とは?

ウォッシャブル加工とは、「正絹のちりめんや紬の反物を、水で洗っても縮まないように加工する技術」です。

いくつか例外はあるようですが、ほとんどの新品反物に加工できるそうです。開発から現在までは、サービス期間として無料で加工してもらえます。これは、生地によって加工後に風合いの差が生じることがあるためで、その場合は丸洗いして元に戻すという方法をとっているそうです。

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ウォッシャブル加工済の筆者の着物

ここ数年間で、ウォッシャブル加工した着物を4枚誂えました。訪問着、付け下げ、単衣(ひとえ)と袷(あわせ)の江戸小紋です。

袷の江戸小紋(おしゃれ着/礼装着物として。この記事内で取りあげ、解説しています。)

 

単衣の小紋(おしゃれ着/礼装着物として)

 

袷の紬の付け下げ(礼装着物として)

 

袷の訪問着(礼装着物として)

 

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自宅で洗うべからずの常識を覆した【新時代の着物】の正体は?

washable加工は、真空状態の密室で、加圧された純水から噴霧状になったマイクロミストと呼ばれる分子(H2O)を生糸のタンパク質と結合させる技術です。つまり、いったん水と反応した絹糸は、水洗いしても縮まないと言う訳です。同業他社で行われている繊維へのコーティング技術とは違い、フッ素や樹脂などは使用しませんので、washable加工による弊害・副作用はありません。

株式会社染匠ホームページより

簡単に言うと、絹のタンパク質と分子化した水を結合したのが、ウォッシャブル加工。だから家で洗濯できるんですね。

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筆者の購入した【正絹の洗える着物】のクオリティー


京都産の「丹後ちりめん」。重めの高級ちりめんに江戸小紋染をした正絹の反物です。

この反物にウォッシャブル加工し、【正絹の洗える着物(江戸小紋)】としてお仕立てしました。

自宅での洗濯に耐えられる、しっかりした反物です。

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 コスパ比較

筆者が着用している【正絹の洗える江戸小紋】を10年間着用することを仮定してコスパ比較してみます。平均的なお手入れ方法(一年に一度の着物のクリーニングと、十年に一度の着物の洗い張り)を前提としました。

 

10年間着用したときのコスパ比較

ウォッシャブル加工した場合

  • 江戸小紋反物(丹後ちりめん):98,000円
  • 裏地:1,4040円
  • 仕立て代:26,250円
  • 水道代:300円
  • 洗剤代:500円
  • ウォッシャブル加工:0円

    合計139,090円

 

ウォッシャブル加工しない場合

  • 江戸小紋反物(丹後ちりめん):98,000円
  • 裏地:1,4040円
  • ガード加工:8,640円
  • 仕立て代:26,250円
  • 丸洗い10回:約60,000円(一回のクリーニング代6,000円として計算)
  • しみ抜き代:約30,000円(一回のしみ抜き代3,000円として計算)
  • 洗い張り代:約10,000円

    合計246,930円

 

10年間で、約107,840円の差がありました。着物は、10年、20年と着続けていくものですから、その差は時間の経過とともに大きくなること、必須です。

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着物のクリーニングについて

着物のクリーニングには、丸洗いと洗い張りがあります。丸洗いは、石油系の溶剤を使って汚れを落とすクリーニング。洋服のドライクリーニングと一緒です。

  • 江戸小紋のクリーニング代:4,000円~10,000円

洗い張りは、着物をほどいて反物の状態に戻し、水と洗剤で洗い上げていく洗い方。水性、油性両方の汚れがきれいにとれてさっぱり。

ウォッシャブル加工している着物は、常に水と洗剤で洗うので、通常の着物と比較するとすっきり感が全然違います。

  • 江戸小紋の洗い張り代:10,000円

着物のしみ抜きは、丸洗いでは落としきれないときに対応してもらいます。食べこぼしやつけてしまった目立つシミだけでなく、袖口の皮脂汚れや衿についたファンデーションも該当します。丸洗い代の他、別途料金が発生します。

  • シミ抜き:シミの大きさや種類により別途加算

 

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この二年間のお手入れ履歴とコスト比較

「洗えるのはすごいけど、ほんとに大丈夫なの?」というのが正直な感想でしょう。

ここ数年で【正絹の洗える着物】をいくつか作りました。その中で、筆者の江戸小紋の着用回数とお手入れ履歴を紹介します。色無地と同格で着られる江戸小紋の出番は多く、実際に2年間(2016年5月~2018年5月)で、32回着用し、5回自宅で洗濯しています。

2016年5月 お仕立て
2016年10月 着用5回
2016年11月 着用3回
2016年12月 着用1回
2016年12月 衿のファンデーション汚れが気になってきたので、自宅で洗濯
2016年1月 着用2回
2017年2月 袖口の皮脂汚れが目立ってきて、自宅で洗濯
2017年3月 着用4回
2017年4月 着用1回
2017年5月 お茶会で丸一日着用。座りジワと袖口汚れが気になり、自宅で洗濯
2017年11月 着用5回
2017年12月 着用3回
2017年1月 初釜で食べこぼし、自宅で洗濯
2018年2月 着用5回
2018年4月 着用3回
2018年5月 袖口の皮脂汚れが目立ってきて、自宅で洗濯

今回は【正絹の洗える江戸小紋】の着心地を知りたくて、着用回数も洗濯回数も多かったかもしれません。(普通だったら、こんなに洗わないですよね…)

でも、同じようにクリーニングに出していたら、20,000~50,000円かかったはずです。さらに頻繁に着る人は、並行して複数枚の着物を着ますから、この倍以上のコストがかかります。

自宅で洗うことで、コストは中性洗剤代金のみでした!

 

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「洗えて便利になった!」~着用感トップ10

まずは、実際に感じている着用感から。

 

着用感1:「汚れても大丈夫」な安心感

着物を着るときに、「汚れたらどうしよう。」と思わない人はいません。クリーニング関するいろんなことも、正直ストレスです。

その点、【正絹の洗える着物】は、ストレスフリー!以下の心配事から解放されます。

  • 「混んでる電車には乗りません」
  • 「着物で駅のトイレとか、行きたくない」
  • 「ソースが飛ぶと怖いから、イタリアンは行きません」
  • 「着物のクリーニング代って高いんでしょ?」
  • 「どこにクリーニング出していいのか、わからない」

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着用感2:悪天候が怖くない!

足元の雨支度もお忘れなく…

悪天候は着物の敵。わたしもそうでした。でも、自宅で洗えるなら、不意の汚れにも対応できます。着物初心者さんにありがちな、こんなトラブルやお悩みもなくなりますね。

  • 突然の雨に降られて、タクシーで帰ってきた
  • 泥はねの染み抜き代が、一万円以上だった
  • 雨が降らないように、祈るように当日を待っている。
  • 雨の日に着物を着るなんてとんでもない!

ちなみに、当日雨が降ったら、雨コートを着る。これらの身支度は、従来の着物と全く同じ。注意して歩行してくださいね。

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着用感3:どこへでも着て行ける

ソースの飛びはねが気になる洋食

汚れを避けられない場所はたくさんあります。人混み、隣席の密接したレストラン。電車のシートに座るときも躊躇します。汚れ以外では、焼肉屋さんなどの食品のにおい、たばこのにおいも気になるもの。

「自宅で着物が洗える」と思えば、天気も場所も気にせず、行動範囲が広がります。

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着用感4:コスト節約

長襦袢は、2,000~6,000円。着物は、4,000円~10,000円。とにかく、クリーニング代が浮くことは、お財布にやさしい!単純に金額の比較だけではありませんが長い目で見て、洗える着物は総合的に安い!と言えそうです。

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着用感5:お手入れを後回しにしない

汚れを放置して、擦り切れた紬

着物クリーニングはお金がかかるので、後回しにしている人もいるのでは?その結果、数年放置。高価な着物がお手入れ不可。こんな経験している人は多いはず。

洗える着物は自宅で洗濯できるので、すぐにお手入れできます。

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着用感6:いつも清潔

袖口の皮脂汚れは、避けられません

袖口の皮脂汚れや衿元のファンデーション汚れは、どんなに気を付けてもつく汚れ。特に単衣や夏の着物は汗で汚れやすく、気になりますね。

洗える着物は、いつも清潔でいられるだけでなく、肌の弱い方やクリーニング特有のにおいに敏感な方へもおすすめです。

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着用感7:もっと着物が着たくなる!


いつでも洗濯できると思うと、気軽に袖を通すようになりました。「箪笥の肥し」から卒業ですね!

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着用感8:正絹の洗える着物は生地の劣化を遅くする…?

汚れた布は弱くなるそうなので、汚れを放置していることは、生地の劣化を速めているのと同じ。

一番摩擦の激しい裾は擦り切れやすくなる。と、お手入れ業者さんから伺いました。

洗える着物は、よい状態を長く保つことができるかもしれません。

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着用感9:座りジワのお手入れが楽。

長時間正座をした後の「座りジワ」は、吊るしただけではとれないものもあります。水を通して洗った後は、汚れもシワも同時に取れて、お手入れが楽々。

 

着用感10:お手入れ習慣の変化

これまでは、クリーニング店へ持参して、汚れを説明。シミがあるときは「シミ抜きの見積」をもらい、引き取りは数週間後。

時間もお金もかかるし、正直いって、面倒くさい。

正絹の洗える着物は、自分でお手入れできるから時短です。気持ちの上でハードルが下がり「お手入れ無精の悪循環」から抜け出せました。

「お手入れの習慣が身についた」ことは、筆者の場合、大きな収穫でした。

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【洗える着物の洗い方】~洗っている現場レポート(動画)

まず、洗濯の前に本たたみします(動画)

 

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目立つシミや汚れがなければ、着物をたたんだまま、中性洗剤で押し洗いし、充分な水ですすぎます。(動画)

 

そのまま脱水機にかけます。30秒くらいで脱水を止めます。

 

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着物用ハンガーにかけて、水気をきります

脱水直後の直後の写真

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水分がきれたら、室内へ移してさらに陰干しします。

下の動画は、2時間吊るしっぱなしにして、自然乾燥させました。シワの様子がよくわかると思います。

 

裾回り(すそまわり)をはじめ、多少つれやシワの気になる部分にアイロンをかけます。なま乾きの状態の方がアイロンをかけやすいようです。

さらに、そのまま数時間室内に干し、完全に乾燥させ、本たたみします。

↑この通り、夜洗って、翌日着られます!

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着物を洗うタイミング

着物はどれくらいの頻度で洗うのでしょうか?

一般的には、シーズンオフに丸洗いに出す方が多いようです。一年に一度くらいです。洗える着物もそれと同じタイミングで自宅洗濯します。

筆者の場合は、年間着用回数が多いため目視で袖口の皮脂汚れが目立ってきたら洗うようにしています。それ以外では、以下の時に自宅洗濯しました。

  • お茶会で丸一日着用。座りジワと袖口汚れが気になって洗濯
  • 食べこぼしや汚れ
  • 衿のファンデーション汚れが気になって洗濯

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【正絹の洗える着物】メリットやデメリット、注意事項

 

洗った直後、【正絹の洗える着物】はどんな状態に?

洗濯直後は、少し引きつったり、たるむような個所もありますが、アイロンをかけて復元します。アイロンで布目を整えれば、きれいに戻ります。

ちなみに、袷(あわせ)の場合、収縮率の差が問題にならないよう、裏地と表地のバランス…相性の良い胴裏・八掛生地を厳選していると聞きました。単衣(ひとえ)の洗える着物の居敷当(いしきあて)なども同様。

着物の裏地や仕立てにも相当気を使っていると感じています。

 

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アイロンをかけるのはどの程度?

筆者の江戸小紋の場合は、袷の仕立て。しかも重めの縮緬なので、乾燥後は重みでけっこうシワは伸びています。そのため、衿、上前、裾、袖のみアイロンをかけました。

所要時間は30分かかりません。

全体に糊付けしたり、しっかりアイロンしなくてはならない浴衣より楽に感じています。

 

水分を含んだ時の、もたつき方は?

洗った直後は、すそのもたつき感が気になりますが、アイロンをかけると元に戻ります。

 

洗剤は何を使う?

おしゃれ着洗い用の中性洗剤を使っています。ドラッグストアで販売されているエマールやアクロンを使っています。

 

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ちりめんの質感(重さ、しなやかさ、光沢)は、本当によみがえるの?

日常絹をさわっている人は、画像を見ると、その光沢やしなやかさが感じ取れると思います。ちりめんの質感は問題なく元に戻ります。

 

洋服用のハンガーにかけて干してもいい?

だめです。必ず着物用のハンガーを使用ください。

 

早く乾かしたいときは屋外に吊してもいい?

室内で陰干ししてください。色があせることがあります。

 

何か困ったことは?

多少の色落ちがあるため、洗濯液に漬けっぱなしにしない。長時間かけて押し洗いしない。お湯で洗わないように気を付けています。

生地や染料によって異なるようですが、わたしの濃い紫は、最初の数回、洗濯水に色がつくのがわかりました。麻の着物そうですから、天然繊維は仕方ないかもしれません。

洗う前には、着物を入念にチェックして、汚れている個所に中性洗剤をしみこませ下洗いします。そうすれば、全体へのダメージは避けられます。

それと、現時点でのウォッシャブル加工は、生地によって多少風合いの差があります。もし、風合いが変わっても丸洗いをするとほとんど元に戻るそうですが、その場合は、ウォッシャブル加工ではなく、従来の丸洗いや洗い張りの洗い方になる場合もあるそうです。

新しい技術のためどの反物も100%の保証はない。という状況を、ユーザー側は理解しておく必要がありそうです。

 

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普通の着物(ウォッシャブル加工なし)を試しに洗ってみると?


ウォッシャブル加工していない着物を、中性洗剤と水で、同じように洗ってみました。49㎝あった袖丈が、40㎝になりました。約2割縮んでいます。あらためて、ウォッシャブル加工の威力を感じます。

検証した着物は、袷(あわせ)の重めの縮緬という、似ている条件の着物を選びました。単衣(ひとえ)の着物や紬なら、これほど縮まないかもしれません。ご参考までに。

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ある式典のお免状授与式で着用した【洗える着物(付け下げ訪問着)】格式あるフォーマルな場ですから、もちろん正絹の付け下げです。これが自宅で洗えるとは、驚きですよね!汗ばむ季節や、海外でのフォーマルシーンでも、これから大活躍しそうです。

昔からの着物通ほど、「信じられない!」という技術。きっと、経験しないとわからないでしょう。

【正絹の洗える着物】はまさに伝統とテクノロジーの融合。着物のハードルが低くなり、もっと多くの方が着物を楽しめるようになればいいなと思います。

筆者主宰のお教室では、「洗い方実技指導」をしております。該当される方は、遠慮なくお申し出くださいね。

今後も不定期に洗える着物のリアル体験を綴っていく予定ですが、何かご質問などありましたら、こちらへどうぞ。

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筆者プロフィール

着物好きが高じて、DTPデザイナーから着付講師へ転身。年間約8割を着物で過ごしている。2004年より、東京都内にて生徒とのコミュニケーションを大切にした、少人数制の着付教室は現在も進化中。これまでに、400名を超える指導実績がある。

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