5~10月に毎日着ている夏の長襦袢の着心地と仕立ての注意点

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5~10月に毎日着ている夏の長襦袢の着心地と仕立ての注意点

「毎日、着物を着ている人は、夏にどんな長襦袢着てるの?」と興味ある人、着付講師の筆者が実際に着用している長襦袢の着心地や、仕立てる時の注意点をご紹介します。

夏の長襦袢は、実際に着てみて気付くこと、たくさんありますよ。

着用中の夏の長襦袢三枚

現在の夏の長襦袢は以下の三枚です。すべて自宅洗濯できるウォッシャブルタイプの天然素材にこだわっています。汗をかく時期は、頻繁に洗濯できて、清潔に保てることがマスト

 

近江麻の長襦袢

本麻100%の長襦袢です。別の記事で「初心者におすすめ長襦袢」として紹介しました。筆者の定番です。↓関連サイト↓

夏の長襦袢の素材比較。涼しいのはどれ?初心者におすすめの夏の襦袢

 

紗の長襦袢

絹100%の長襦袢です。この長襦袢は絽目がありません。袷(あわせ:裏地のある着物)の季節の暑い時に着用しても、夏の襦袢だとバレないので、どんな場所でも気兼ねなく着れます。

 

縦絽の長襦袢

絽目が縦にある、絹100%の長襦袢です。かつての横絽は、着くずれ直しに衿肩明(えりかたあき)の下を引き、何度も裂けました。縦絽は強度があります。お茶席などに絽の襦袢は定番なので助かっています。

以上3枚が、現在着ている夏の長襦袢です。

日常に着物を着ていると、いろんな環境があります。真夏日に外を歩く炎暑、人前に出るから汗をかきたくない状況、暖房がききすぎているときや人混みは冬でも夏の襦袢を着たいくらいです。寒さ対策よりも、暑さ対策の方が過酷。だから夏の襦袢は重要です。

着用期間ですが、みなさんお感じの通り、最近は夏日が増えました。3月に急に25度になったり、11月まで蚊が飛んでたりしますよね。以前よりも明らかに、夏の長襦袢を長く着ています

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麻を着る時と絹を着る時の違い

上の着物を何にするかで、変わります。基本、同素材の長襦袢を着ます。小千谷ぢちみなど麻の着物なら麻の襦袢です。夏の紬など織の着物も麻の襦袢を着ます。

絽の小紋や付け下げは絹の長襦袢を着ます。

素材が違うとなじみが悪く、袖口から襦袢が見えてきたりします。夏は生地が汗で張り付くので、よけいに目立ちます。

麻の着物には、麻の襦袢

夏の紬にも麻の襦袢

絽の小紋には、絹の襦袢。ただし、透け感が少ない小紋の時や、暑がりな人は、麻の襦袢を着る場合も。

絽の付け下げには、絹の襦袢

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それぞれの素材のハリ感や涼しさ

読者の方に本当にわかってほしいのは、その着心地。肌感覚や涼しさの違いです。

画像から、生地のハリ感や透過度、涼しさがわかるでしょうか?

長襦袢を作った時の残布を、ペットボトルに巻きつけたのが上の画像

こんな風に巻きつけました

 

縦絽の長襦袢

紗の長襦袢

↑触るとしっとりしている絹は、ドレープもやさしく、なめらか。形に寄り添います。だから絹の長襦袢は細見えするんですね。

 

麻の長襦袢

↑麻はハリがあり、ちょっとごわごわ。だけど、このハリの中を空気が通るのでとても涼しいのです。

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仕立ての注意点

夏の襦袢だからこそ気を付けたい仕立ての注意点があります。

夏の着物は、下の襦袢が透けて、特にお袖や裾が目立ちます。上に着る着物と寸法を合わせておかないと、後悔することに。

 

各部の寸法

袂(たもと:袖)が揃うように、

  • 肩幅寸法
  • 袖幅寸法
  • 袖丈寸法
  • 袖付寸法

衿のカーブを沿わせて美しく着るためには、

  • くりこし寸法

を着物寸法と合わせます。他にも、衿肩明(えりかたあき)など自分の寸法がある人はお仕立ての時に伝えてください。

長襦袢の長さは、自分の身長に合わせて、くるぶしあたりの丈にします。短すぎると、透けた時におかしいです。

足のくるぶし丈くらいです

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既製品?マイサイズ?

初心者の人に聞くと、だいたい既製品です。理由は「夏はあんまり着ないと思うから。」「違いがわからないから、とりあえず、安いのにしました。」とのこと。

そのせいか、夏は、衿元のはだけている人が多いです。特にバストの大きい人は身幅が合わず、どんどん衿元が開いてきて、だらしのない着付けになっています。

夏の長襦袢というと、浴衣と同じように「真夏に着るもの」という感覚の人が多いですが、それは間違っています。

筆者は、5月~10月の間、夏の長襦袢を着用しています。夏日が長くなった今、夏の長襦袢の着用期間は長いのです。

この先何年も長持ちするものですから、ぜひ、最初の一枚からマイサイズの長襦袢をおすすめします。先ほどの「仕立ての注意点」に書いたように、透けた時もおかしくありません。

寸法があっていれば、衿元が着くずれにくくなります。衿がきまっていると、着物姿に自信が持てます。

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えもん抜きはつける?

夏の着物は透けるので、えもん抜きはつけない方がいいでしょう。

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暑い5月や10月に夏の長襦袢を着る時の半衿は?

さきほど、5月~10月の間、夏の長襦袢を着用している。と書きましたが、半衿は冬用?夏用?と迷いますよね?

答えは5月や10月に夏の長襦袢を着る時は、冬用の衿(=塩瀬)を縫い付けます。夏は平絽です。他の月は以下の通り。

5月 6月 7,8月 9月 10月
塩瀬 平絽 平絽 塩瀬 塩瀬

9月は地域により、まだ平絽のところがあったり、絽ちりめんを付ける人もいます。

冬物の縮緬(ちりめん)半衿は、寒い時期(木枯らしが吹くころから立春まで)がおしゃれです。汗ばむ時期はつけません。

↑夏の長襦袢に、冬用の半衿がついているところ

↓これは手抜きの「二枚重ね付け」。衣替えの時期はあわただしくなるのが嫌なので、下の画像のように重ね付けしています。

その場合、下の衿が透けないように、冬物の衿は厚みのあるしっかりした生地を縫い付けています。

筆者は、東レのバイアス半衿を使用しています。あくまでも手抜きですので、ご参考までに。

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いかがでしたか?着心地の違いなど、説明がむずかしい部分ですが、少しでもお役にたてれば幸いです。これまで、いろいろと挑戦して失敗も多かった長襦袢ですが、現在はご紹介の三枚に落ち着いています。平均気温は変化し、長襦袢も進化しています。わたしの長襦袢ラインナップも、また数年後には変わるかもしれません。変化をとらえ、これからもできる限りこだわっていきたい「夏の長襦袢」です。

筆者プロフィール

着物好きが高じて、DTPデザイナーから着付講師へ転身。年間約8割を着物で過ごしている。2004年より、東京都内にて生徒とのコミュニケーションを大切にした、少人数制の着付教室は現在も進化中。これまでに、400名を超える指導実績がある。

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