現代のキモノ女子へ向けて、わかりやすく着物を解説する着付講師のブログ

menu

キモノ日和は旅気分

夏の着物や浴衣は暑くて汗だく!?これで解消【暑さ対策15のコツ】

着物や浴衣で出かけて、こんなに暑いの?と、びっくりした人。きものは、首から足元まで覆われ、しかも帯を結ぶので、中で蒸れます。だから、工夫が必要なんです。

普段着物で生活している筆者が実践していること、周りの先輩たちから教わってきたことをご紹介します。

涼しい着物とは?

たしかに、首から足首まで覆われている着物ですが、死ぬほど暑い!ことはありません。

着物や浴衣は、着用したときに空気の通り道を作ります。袖や脇の下が空いていたり、衿を抜いた着方をすることが、空気の通る仕組みになっています。

「暑すぎる人」は、何かが間違っているのかもしれません。なるべく、この通気性を遮断しないような工夫をしましょう。

 ↑目次へ戻る↑ 

 

暑いから下着重視?暑いから下着省略?

暑くてもインナーは省略しないほうが、結果として汗ではりついたり、熱がこもったり、冷房で寒い思いをしないので、快適に過ごせます。

筆者は着物を着始めてからずっと、「暑いから、下着重視」派です。着物の暑さ対策は、「汗取りと汗出しの両立」という考えです。

ウエスト周りの補正は暑そうに見えますが、人の体は発熱体。タオルで汗取りした方がすっきりします。しかも、帯が安定するので、きもの姿が美しくなります。暑いからこそ、きりっと浴衣や着物を着たいですよね。

 ↑目次へ戻る↑ 

 

真夏の着物の暑さ対策15選

通気性、汗取り、冷感を重視した暑さ対策です。

 

補正は大判ガーゼを巻く

着崩れ防止のためにも、筆者は補正は省略しません。

それに、帯の下はどうしても汗をかいてしまいます。汗で着物を汚さないように、補正タオルに汗を吸い取ってもらいましょう。

冬場はパイル時のタオル、夏場は大判ガーゼを巻いています。ガーゼの方が熱をためこみません

 ↑目次へ戻る↑ 

 

汗取りの下着をつける

エアリズムなどクール素材のインナーでもOKです。汗取りインナーでもいいでしょう。でも、下着の透けも同時に防ぎたいなら、やっぱり和装用の下着が一番。

筆者の夏の下着は、「あしべ織汗取襦袢」。アンダーバストからウエストちょっと下まで植物繊維のあしべが分厚く縫い込まれていて、脇の下に汗取りパットもついています。

お茶会の時は、足の汗取りも必要なので、ステテコをはきます。

 ↑目次へ戻る↑ 

 

麻の長襦袢を着る

麻には吸水性と速乾性があり肌に張り付きません。筆者は麻の襦袢を長く愛用しています。

 ↑目次へ戻る↑ 

 

冷却シートの活用

涼しく着こなすためには、「首すじ」や「脇の下」を冷やすのがポイント。循環する血液を効率よく冷却できます。

特に暑い日は着付けの前に冷却シートを貼っておくとひんやり。伸縮性の高いボディ用の冷却シートは、はがれにくいようです。

 

制汗剤を利用する

着付けの前に「制汗剤」を。汗を押さえられます。

 

メッシュのゴムベルト

ゴム製のきものベルト(または、ウェストベルト)を使用している方も多いと思います。夏用に、メッシュのベルトがあるのはご存知ですか?

 ↑目次へ戻る↑ 

 

メッシュの帯板を使う

冬物の帯板は熱がこもります。メッシュの帯板にするとぐっと涼しくなりますよ。

 

へちま枕、麻枕を使う

いずれも通気性のある帯枕です。周りではへちま愛用者も多いです。筆者は帯山をかちっとしたいので、麻の枕を使っています。

 ↑目次へ戻る↑ 

 

芯のない帯を巻く

帯芯の入っている「袋帯」や「九寸名古屋帯」よりも帯芯の入っていない「八寸名古屋帯」が軽くて涼しい。

 

保冷剤を活用する

保冷剤をガーゼでくるんで「首すじ」や「脇の下」を冷やしています。バックの中を濡らさないよう、ジップロックに入れてます。

着付けの前に胸元へ入れている人もいます。保冷剤は不織布タイプがおすすめ

 ↑目次へ戻る↑ 

 

ミントオイル+水

ミントオイルを数滴たらした水(オイル入れすぎに注意してください)を、ボトルスプレーに入れて携帯しています。手首や足首にしゅっとかけてみてください。花火大会などでは虫よけにもなります。

画像のオイルは、ドラックストアで売っている「ハッカ油」です。

 ↑目次へ戻る↑ 

 

うちわや扇子

袖口から仰いで風をいれましょう。上のミントスプレーをして扇子で仰ぐと、清涼感がアップ

 ↑目次へ戻る↑ 

 

素材をチェックする

なるべく、天然繊維を身に着けましょう。品質表示タグでチェックします。既製品の浴衣、洗える着物、ポリエステルの長襦袢にはこのようにタグがついています

着物スリップ、伊達締めも化学繊維は避けたいですね。

筆者が夏の着物や小物で使っている素材は、

  • 綿:晒、ガーゼ、キュプラ、キャラコ
  • あしべ
  • 正絹

です。 やむを得ず化学繊維を使用しているのは衿芯と帯板です。でも、通気性確保のため、メッシュにしているので大丈夫。

 ↑目次へ戻る↑ 

 

走ったり、急いで動かない

ポンピング効果って知ってますか?動いているときは平気なのに、ぴたっと止まると、どっと汗が噴き出すことがありますよね。これをポンピング効果というそうです。

着物で走って待ち合わせ場所へ行くと、なかなか汗が引きません。着物の時は、ゆっくり準備、優雅に行動が肝。

 

日傘を忘れない

日傘で直射日光を遮るのは鉄則。

 ↑目次へ戻る↑ 

 

真夏だけじゃない!?初夏・初秋の月別暑さ対策

これまでは主に盛夏(7月、8月)を想定しての暑さ対策、汗対策でした。それ以外でも真夏日が増えてきました。5月、6月、9月、10月のよくある質問をご紹介します。

5月の暑さ対策

Q:単衣(ひとえ)をきてもいいの?
A:ふだん着物(カジュアル着物)なら単衣を着てもOKです。紬などの織の着物の方がさらっとしていますし、裾がめくれてもわかりにくいです。夏の長襦袢には、冬用の衿を縫いつけましょう。

 

6月の暑さ対策

Q:暑い6月はもう夏物を着てもいいの?
A:礼装は「まだNG。単衣が正解。」ただし、地域差があります。6月後半ならもう夏物という地域があるようですし、先取りなら可という考え方もありますので、礼装の場合は所属するところの責任者、年長者に確認してください。

ふだん着物のおしゃれ着なら、小千谷ちぢみを着たり、透け感の少ない夏物を着始めてもいいと思います。

筆者は、夏紬や、縦絽に縦縞染の小紋など着ています。いずれも、透け感少なく、パッと見は単衣に見えます。

 

9月の暑さ対策

Q:暑すぎて、単衣着れる気がしない!
A:そうですよね。暑いですよね。9月前半は、「6月の暑さ対策」と同じ。透け感少ないものでしたら、ふだん着物に夏物を着てもよいと思います。

単衣に衣替えした後も、襦袢は夏のままです。半衿は冬物に縫い変えます。

 

10月の暑さ対策

Q:10月にすぐ袷(あわせ=裏地のついた着物)を着なくちゃいけないの?
A:10月のおしゃれ着はまだ単衣のままの人、たくさんいます。ふだん着物なら「10月の単衣+夏の襦袢」は、アリだと思います。ただし、コーデの時に、「色」に注意。秋色で季節感。仕立てや着物は夏のまま。これが、暑い秋の攻略法です。

 ↑目次へ戻る↑ 

 

夏着物の暑さ対策は、「涼しさ」「細見え」「コスト」どこに重点を置くかできまってきます。たとえば、筆者がリピート(現在7枚目)している「あしべ織汗取襦袢」ですが、口コミをみると、「夏にこんな(分厚い)ものを着るなんて信じられない!」「太ってみえそうでいや。」という若い方のコメントも見かけます。実際の愛用者は、汗を放置すればより不快感の増すことをよくわかっている大人世代、特に暑がり、汗っかきが多いです。40代後半からは、自律神経が乱れ、体温調整がむずかしくなっている方もいます。自分の体質や、体調を考えて、「今の自分にベストな暑さ対策」を見つけられるといいですね。

筆者プロフィール

着物好きが高じて、DTPデザイナーから着付講師へ転身。年間約8割を着物で過ごしている。2004年より、東京都内にて生徒とのコミュニケーションを大切にした、少人数制の着付教室は現在も進化中。

プロフィール詳細へ

関連記事