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キモノ日和は旅気分

≪日本の伝統文様≫縁起の良い和柄や、和の模様に込められた意味や願いとは?

※このページは2021年9月12日に更新されました。

日本の伝統文様はデザイン的にすばらしく、世界からも高い評価をうけています。その上、五穀豊穣、開運福徳、子供の成長、家族の健康や長寿、学業成就、家内安全、子孫繁栄、芸能の上達など、人々の思いを今に伝えているのをご存知ですか?

着物の模様、器、部屋のしつらえなど、普段よく見かける模様の、名前やその意味まで知っていますか?最近は新しい建築物などにも和模様が多く取り入れられています。

日本人のわたしたちがぜひ知っておきたい和模様について解説します。

和模様の意味

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これは、和室のふすま飾り。上部の模様は、「麻の葉(あさのは)」。麻の葉模様には魔除けの効果があるとされています。下部の横線は、「流水(りゅうすい)」に見立てた模様。火災から大切な家を守ってください。という願いが込められています。

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実家で使っていたもの。定番お重の他に、この器にもいっぱいのおせち料理を詰め、お正月をお祝いしました。メインの模様である「束ね熨斗文(たばねのしもん)」は、おめでたい模様のひとつですが、リボンが舞っているような意匠は、元気いっぱいの吉祥模様です。

束ね熨斗の中には、さらに亀甲(きっこう)や七宝(しっぽう)の吉祥模様。梅、牡丹、菊など格の高い花で華やかさを。老松(おいまつ)や唐草(からくさ)で長寿や健康を願う模様がちりばめられています。

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和模様はいつの時代から?

現在の和模様は、中国や朝鮮との交流から取り入れられ、独自に発展していったと考えられています。

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たとえば、この模様は今から1200年にわたって奈良の正倉院に保管されている正倉院模様のひとつ。当時「定規入れ」として使われていた織物。これらのモチーフは、今でも多くの方に愛されていて、帯や袋ものとして使われています。

和柄のルーツの多くは、平安時代以降が多いようです。その頃から、日本独自のものと唐の文化が融合、その後、独自の模様へと変化していきます。

その後も柔軟に異文化を取り入れたり、江戸時代には、歌舞伎役者由来の柄が登場したりと、数々の変化を受け入れながら日本の模様は発展してきました。

現在、和模様とか古典模様、伝統模様とか言われているものは、少なくと100年以上(そのほとんどは、何百年)継承されているものばかりです。驚きですね。

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代表的な模様の名前

それでは、代表的な和模様の名前と意味を解説していきます。

七宝つなぎ(しっぽうつなぎ)

いくつもの円の円周を四分の一ずつ重ね、上下左右に連続させている模様。輪ちがいつなぎ文とも言う。四方どちらへも永遠に続き縁起のよいことから、「四方」→「しっぽう」→「七宝」と呼ぶようになった。七つの宝とは、金、銀、瑠璃、めのう、さんご、水晶、パールのこと。

 牡丹(ぼたん)

百花の王として尊ばれてきた牡丹。日本には奈良時代に薬用として伝来した後、装束や工芸品の装飾文様として用いられた。その豪華さから富と権力の象徴ともされ、武士にも好まれた。現在は着物や陶磁器など幅広く付けられる文様である。

 波千鳥(なみちどり)千鳥文(ちどりもん)

群れになって飛ぶチドリ科の総称であり、その様子を文様化したもの。昔から歌に詠まれ、文様としても広くつかわれてきた。雄雌そろって子育てをする千鳥にあやかって、家内安全、夫婦円満の想いも込められている。愛らしい千鳥が人気の柄。格子状に千鳥を組む「千鳥格子」は、この模様をさらに単純化したもの。

 亀甲(きっこう)

正六角形を上下左右につなぎ合わせた文様。平安時代から鎌倉時代に流行。もともとは中国を経て日本に伝わって模様。古くは、貴人(きじん=身分の高い人)や神秘的なものに使われていた。正六角形で亀の甲羅をあらわしている。長生きする亀は昔から長寿吉祥の象徴。画像は亀甲が二層になっていることから、「子持ち亀甲」とも呼ばれる。

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 老松(おいまつ)松文(まつもん)

松の木は寿命が長く、四季を通じて落葉しない常緑樹でもあることから、昔から神の宿る木と信じられていた。門松は年神様の目印として新年に飾られる。開運招福、延命長寿の代表的な文様。松は様々な姿で表現され、老松だけでなく 若松、松葉、松原、松林など多彩。

麻の葉(あさのは)

六角形を規則的に繰り返して配置した幾何学文様。植物の麻の葉に似ていることからこの名がくる。麻の葉は成長が早くまっすぐに伸びることから、健やかな成長を祈願し昔は子供の産着などによく使われた。日本独特の文様。

雪輪(ゆきわ)雪華文(せっかもん)

雪の結晶を表している。上の画像は、雪輪の中に水玉状に模様を配しているが、このように組み合わせてデザインされることが多い。昔、雪がたくさん降ると豊作になると信じられていたことから、この模様には五穀豊穣を願う意味もある。冬だけでなく季節問わず使われる人気の模様。

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 立涌(たてわく)

波状の曲線を向い合せに並べて繰り返す連続文様。立ち上がる蒸気を文様化したと言われている。貴族たちに愛された代表的な有職文様(ゆうそくもんよう=平安時代以降、公家の衣装に使われた織地の紋様)である。

 紗綾形(さやがた)

梵字(ぼんじ=仏教に関連して使われる。サンスクリット語を表記するための文字)の「卍」の変形連続模様。中国から伝わった紗綾という絹織物からこの名がくる。慶弔どちらでも使える模様で、着物では、反物の地模様としてもよく使用されている。「卍」は、吉祥の印。

 鱗文(うろこもん)

古くは、シンプルな三角模様として、古墳や埴輪(はにわ)の装飾に使用されている。近世になり、鱗文の名がついて武士の陣羽織(じんばおり)や能装束に用いられた。鱗は魚ではなく蛇や蝶に関連し、脱皮を表すことが多い。現代でも、厄落とし、再生、厄除けの文様として、着物デザインにもよくみられる。

 束ね熨斗(たばねのし)

熨斗は「のし袋」の、のし。熨斗とはもともと、鮑(あわび)を薄くのばして干した熨斗鮑のこと。昔はこの熨斗鮑が貴重だったため、おめでたい行事には進物に添えられていた。縁結びや無病息災の想いが込められている。束ね熨斗(たばねのし)は、細長い熨斗を数本束ね、まとめたもの。

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 宝尽くし(たからづくし)

縁起のよい宝物を集めた文様。室町時代から、吉祥文(きっしょうもん)として定着する。打出の小槌(こづち)や隠れ蓑(かくれみの)、如意宝珠(にょいほうじゅ)などがあるが、その種類は地方により異なることもある。開運招福、富貴繁栄を願う。この「尽くし」とつくのは、同じ分野で異なるモチーフを集めた時で、宝尽くしの他にも「貝尽くし」などもある。

 ふみ文(ふみもん)

結び文の模様。結び文とは、手紙をひと結びしたもの。恋文としても送られていたからか、結び文の形の「縁結びのお守り」として各地にみられる。子孫繁栄、縁結びを願う。

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青海波(せいがいは)

入れ子になった半円を連続して波を表した幾何学文様。その名前は、舞楽「青海波」の装束につけられていたことに由来している。古くから吉事に用いられている。

源氏香(げんじこう)

香道で行われる「香合わせ」という遊びを由来とした模様。源氏とは源氏物語のこと。5本の線をデザイン化した模様は、源氏物語の各帖の名前がつけられている。古典文芸が背景にあることから、「雅び」な雰囲気を連想させる。

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小桜(こざくら)桜散らし(さくらちらし)

桜の花模様は日本を代表する花模様。桜散らし(さくらちらし)は、花や花びらを全体に散らしたもの。平安時代以降、歌に詠まれ、他の文様との組み合わせの文様は、季節を問わず使用できる。開運招福、五穀豊穣、繁栄を願う。

若松(わかまつ)

芽生えてからすぐに若い松(年始に飾りに使われるおめでたい松)を文様化したもの。新鮮さと将来性のある植物として、振袖の帯の柄などによく見られる。

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梅文(うめもん)

梅の模様は、奈良時代に梅が中国から伝来してから、「万葉の花」として、歌に詠まれたり、観梅の宴で愛されてきました。梅にちなんだ故事や色名などにたくさんの梅の名が残されている。菅原道真が梅を好んだことから開運や学業成就のご利益がある。

菱文(ひしもん)

菱型を基本とした連続模様で、古くは飛鳥奈良時代の織物の地紋にみられる。たくさんの菱文があり、菱型を二重三重にしてつなぎあわせた入子菱や、花を菱型に組み合わせた花菱など。

宝相華(ほうそうげ)

この文様も古から使われていて、奈良時代から。現世にはない、空想上の花々の文様で、悟りの境地に達した仏の心を表していると言われている。着物の世界では、格調高い古典模様として、袋帯や留袖の意匠によく見られる。

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鹿の子文(かのこもん)

絞って染めた文様が子鹿の背中の模様に似ていることからこの名が付く。

扇文(おうぎもん)扇面(せんめん)

扇は、平安時代の檜扇(ひおうぎ)から始まり、紙扇、軍扇(いくさおうぎ)や、能、狂言、茶道など、多彩に使用されてきた。現代の和装でも、祝儀の帯にさし、装束のひとつとなっている。末が広がっている形状から「拡大」「発展」を意味する。

市松文様(いちまつもんよう)

正方形を交互に並べた形状から「石畳文(いしだたみもん)」ともいう。古来よりある文様だが、江戸時代に歌舞伎役者佐野川市松が舞台衣装に用いた事からこの名称が付く。オリンピックエンブレムのもととなった伝統柄。

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模様の使い方で気を付けたいマナーとは

模様の使い方とは、ここでは、着物を着用する時、ということで解説したいと思います。

和模様というのは「吉祥模様」=「おめでたい模様」が多いことがわかりました。ということは、不祝儀の時には、この模様の使い方を控えなくてはいけない、ということになります。色無地の地紋、長じゅばんの地紋など、不祝儀にも問題ない模様かどうか、確認しておいた方がいいですね。

不祝儀でも問題なく着用できる柄として、流水模様、紗綾形などがあります。

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スカイツリーで見つけた!たくさんの和柄

東京スカイツリーは、至る所に「うろこ尽くし」が見られます。うろこ尽くしは、古来より厄除けとして使われている三角の連続模様。スカイツリーの外観だけでなく、中に入ると…

↑これが鱗(うろこ)模様です↑

スカイツリーについては、底辺の三角柱からトップの円柱に推移するという構造もあり、三角文様が多用されているのかな?

スカイツリーは江戸文化を支えた下町にあります。伝統工芸品がインテリアとして採用されていたのも、とても気になりました。きっと他にもまだまだありそう…今度はもっと時間をかけて探索してみたいです。

↑サニタリーには江戸小紋(えどこもん)を発見

↑エレベータ内には江戸切子が美しく豪華  江戸切子(えどきりこ)ー東京都伝統工芸品

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上に紹介したスカイツリーですが、模様の他にもこだわりがあります。近くで見ると、グレーのスカイツリーは「スカイツリーホワイト」という、オリジナル色。これは、藍染の中の、ごくうすい藍「藍白」をイメージした色。藍色といえばジャパンブルーですよね。

さて、わたしたち祖先がずっと受け継いできた古来からの伝統の模様。いかがでしたでしょうか?和模様一つ一つに込められた由来や意味がわかれば、「何となく、この模様が好き。」だけでなく、楽しさや愛着も倍増しますね!

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筆者プロフィール

着物好きが高じて、DTPデザイナーから着付講師へ転身。年間約8割を着物で過ごしている。2004年より、東京都内にて生徒とのコミュニケーションを大切にした、少人数制の着付教室は現在も進化中。

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