20Mar
卒入学、卒入園のお母様のフォーマルとして、着物が見直されています。昨年は、過去最高のお着付の依頼がありました。失敗しない着物コーディネートや着付けのポイントを着付師からアドバイスします。
フォーマル感がアップする着物は、お子様にとってもお母様にとっても思い出深いものになるでしょう。
目次
卒入学に母親が着る着物
母親フォーマルとしてふさわしい着物は、どんな着物でしょうか?
脇役、付き添いであることをふまえ、品良い好感度、控えめ、落ち着きある装いをしたいですね。着物の種類としては、訪問着、付下げ、江戸小紋、色無地で、準礼装とかセミフォーマルと言われる着物です。
色は、クリームやピンク、うすいブルーやラベンダー、ペールグリーンなどが上品です。
でも、もし複数枚お持ちであれば、桜の時期や陽射しの明るい4月はピンク、3月はやや落ち着きを、と考えても素敵です。地域制、学校の雰囲気、子供の年齢が上がるにつれて式典が厳粛になるということもあるでしょう。わからないことは、先輩ママに聞いてみるといいですね。
ラベンダー色の京友禅の訪問着
クリーム色の付け下げ
グレーの万筋の江戸小紋
グリーンの江戸小紋は格調高い模様
着物は、トレンドがないと思っている方もいるようですが、親の着物をそのまま一式着ていき、派手すぎて浮いてしまう、ということがたまにあります。詳しい方に一度相談されるといいと思います。
スーツで出席されるお母様たちは、卒業式にはブラック、ダークグレーなどのダーク系、入学式はパステル系などを意識されている方も多いようですが、着物はそれほど気にされなくともよいです。
卒入学に合わせる帯
帯は、礼装用の袋帯を結びます。
袋帯とは、30㎝幅で4m以上長さのある帯のこと。礼装用の袋帯は、金銀など光沢ある糸を使って織っているものが多く、柄は格調高い模様です。
帯結びは、二重太鼓が基本です。帯地が二枚重なるお祝いの帯結びでもあります。
帯揚げや帯締めの色
着物と同じやさしい色合い
小物合わせに悩んだら、着物の色調の範囲内にします。強い色を重ねて着物の雰囲気を壊すと、上品さが損なわれます。(これはバックや履き物を選ぶときも共通する感覚です)
持って行きたいのは、フォーマルバックとサブバックの二つ
小振りのフォーマルバック、サブバックは、必須です。ともに着物用でなくとも構いません。
せっかく着物でフォーマル感がアップしたのに、いつものバックと紙袋では残念です。サブバックは、学校で配布される資料や記念品を持ち帰ったりスリッパを入れたりするため、マチの広いものが便利です。
礼装用の草履とカジュアル草履の見分け方
礼装用の草履と普段用のカジュアル草履がありますので間違えないように気を付けます。
見分け方としては、
- 鼻緒が豪華
- 草履の台に高さがある
- 淡い色の色調
- 金銀白のもの
フォーマル用のお草履についての注意点があります。事前に試し履きをして家の周りを少し歩いてみてください。チェックポイントは鼻緒が痛くないか、草履の台が安定しているか、台の接着がぐらついていないか。
あまり出番が多くないフォーマル草履。多くの方が「10年ぶりに履きます。」なんてよくあること。こういう時は要注意。草履の劣化により、ばらばらになることがあります。
校内はヒールスリッパがおすすめ
校内で履きかえるスリッパはどうでしょうか。
着物に適しているスリッパは、3㎝~5㎝のヒールタイプ。細身のスリッパが脱げにくく歩きやすいです。ヒールタイプをお勧めする理由は、着物の裾を汚さないため。
色や素材については、黒あるいは、着物の色に近い色。素材はサテンやシャンタンなどが着物に合うようです。
滑ると歩きにくいので、ストレッチタイプでなく綿の足袋をはきたいですね。
着物のときのアクセサリーは?
時計は、文字盤の小さいタイプがきれいです。髪飾りは、成人式のようなお花のものではなく、パール系が上品。ネックレス、ゆれるタイプのピアスははずします。
ご卒業、ご入学おめでとうございます。お子様が多くのことを学び一つの区切りを迎えられたこと。それはご本人だけでなくご家族の大きな喜びですね。特にお母様の大きなサポートがあったからこその、この日。まわりの方々は皆、あたたかい気持ちでみなさまをご覧になっていることでしょう。卒入学の母親の着物について、上記いろいろなことを書きましたが、保護者にドレスコードはありません。お子様が主役であることを忘れなければ、場の雰囲気に添わない装いになることはないでしょう。ぜひ晴れやかなお気持ちで式典にご出席ください。お子様、ご家族様にとりまして、すばらしい思い出となりますように。
筆者プロフィール
着物好きが高じて、DTPデザイナーから着付講師へ転身。年間約8割を着物で過ごしている。2004年より、東京都内にて生徒とのコミュニケーションを大切にした、少人数制の着付教室は現在も進化中。