7Mar
ほとんどの人にとって、袴は「はじめての体験」。毎年100名近く袴着付けをしている着付師の筆者が綴る、「袴着付けでたいせつなポイント」をぜひご覧ください。この記事を読んで、当日の不安を解消しましょう。
目次
袴や着物の持ち運びで気を付けたいこと
美容室や、着付け会場で袴を着つけてもらう時、どうやって荷物を持ち運びするのでしょうか。持っていくときだけでなく、袴を着た後のことも考え、上手に荷物をまとめたいですね。
理想的なのは、着つけてもらった後の手荷物はひとつ。(貴重品を入れるきんちゃくや着物バックを別にして)帰りは、着ていった洋服や靴。ダウンジャケットを持って帰らなくちゃいけないことを、お忘れなく!
いらないものは持っていかない。のが原則。
いらないものとは、
- たとう紙(着物を入れている和紙)
- 草履を入れている箱
- 伊達衿の入っている紙箱
- 下着を入れているビニールなど
NGなのは、たとう紙に入れたまま、草履や箱ごと、下着は袋に入ったまま。など。
荷物が大きくなって移動がたいへんな上、着付けをはじめるまでにとても時間がかかってしまいます。
袴の持ち運び方法
それでは、袴、着物、小物類の持ち運び方です。ビニール袋入りの袴は、そのまま持ち運びます。
ビニール袋のない場合は、風呂敷に包みます。
袴のプリーツや紐がぐちゃぐちゃに折れ曲がらないように気を付けてください。当日の着付け場所では、アイロンはかけてもらえません。
着物や小物の持ち運び方
下着や紐は、ビニールや旅行用ポーチなどでも可。すべてコンパクトにまとめます。
↑草履は箱から出して!
最後にひとつのバックにまとめます。上記は着物用のバックですが、普通の旅行バック、キャリーケースでもOK。
履物がブーツの人。上手にパッキングすれば、こんなに小さくなりますよ。
袴を着ると肋骨が痛くなる?
卒業式の袴の着付けでは、アンダーバストに紐、帯、袴の紐が集中します。紐をきつく締めるので、当然痛いです…
そこで。
袴を着つけるときは、タオルを折りたたんで7枚分の厚みをアンダーバストに入れます。ほとんどの方は、それでだいじょうぶですが、細い方や小学生の袴着付けでは、余分にタオルを持ってきてもらい肋骨が痛くないように着付けをしています。
やせ型の方は、タオルを一枚多く持っていって、着付け師さんに相談してみてくださいね。
着付の時は前開きの洋服を
着付の時に着て行く洋服は、前開きの洋服と言われますよね。「前開きの服って何?」という方。シャツやブラウス、カーディガンなど、(上からかぶるタイプの洋服でなく)ボタンなどで着たり脱いだりできる洋服のこと。
先にヘアセットを行い、その後から着付けをするため、ヘアが崩れないように、前開きの服を着用して出かけます。
上からかぶるワンピースやニット、パーカーは、NGですよ~。
袴の時の草履の雨対策
意外と雨の日が多い卒業式。ブーツでない方には、草履カバーがあると便利です。もしもの時のために準備しておいてもいいかも。1000円前後で購入できます。
その他、応急処置としては、足袋の上に「足袋カバー」をはきます。
「足袋カバー」は、ポリエステル製で、足袋ソックスみたいなもの。伸縮性があります。足袋の汚れ防止にもなります。
足袋カバーに防水スプレーをかけておくと、いいでしょう。
足袋カバー
ヒートテック・レギンス・カイロの防寒対策
三月は、震えるほど寒かったり、汗ばんだりと気温差があります。
袴の場合、下にいくらでも重ね着(重ね履き)してもだいじょうぶ。ヒートテック、レギンス着用、カイロ貼り付けは支障ありませんが、体温調整しやすい、寒さ対策をおすすめします。
例えば、使い捨てカイロを貼ってくる方がいらっしゃいますが、必ず着付け師さんに相談してください。低温やけどの原因になります。暑くなったら、後からはがせる場所にしてくださいね。
レギンス、ヒートテックは、見えないように裾をロールアップ。
袴の場合、衿元は巻かない方が多いですが、寒いときは、ファーやストールで防寒してもいいでしょう。
ブラはどうする?
着物を着る時は、ブラはつけません。
その方が、痩せてきれいに見えます。紐も痛くないです。
または、和装ブラにつけかえる、カップ付インナー、スポーツブラを着用してください。ワイヤー入りブラは痛いですよ~。
補正タオルで、苦しさ解消。着崩れ予防にも
特に、痩せてて、肋骨にあたりそうな方は、タオルを多めにもっていって、「タオルをたくさん入れて、しっかりめに結んでください。」と着付師へ相談してみてください。工夫してくれるはずです。紐の強さが気にならなくなりますし、着くずれ防止にもなります。
袴着付けには、通常、タオル三枚持ってきてください。と言われますが、ふくよかな人もやせている人も同じ枚数では、当然やせている方には負担があるんです。
下の写真、袴の高さを見てください。アンダーバストの高さに、袴の紐が三重に巻かれ、その下には、帯が二重、その下には、紐が数本入っています。
たまに、タオルを持ってこないで着付けをお願いされますが、まず、間違いなく着崩れますし、痛いです。
睡眠と朝食を取りましょう
苦しくない着付けときれいな写真のために充分な睡眠と朝ごはんを食べることは、とても大切。これまで500名以上の袴のお着付けをしてきましたが、着用後、体調悪くなる方は、寝不足、朝食をとっていません。
朝早くて時間がなかったら、クッキーやチョコレートなどをバックに入れ、着付けの後にお菓子をつまんでお腹にいれてみては?空腹で紐をしめられるって、想像以上にしんどいんです。
寝不足も、大敵です。せっかくの卒業式なのにウトウトしている人、多いそうですよ。
バックのこと
レンタル衣装と一緒に、きんちゃくを借りる予定の方は、着付の前後で、手荷物の入れかえをします。
長財布は、きんちゃくに入らないことが多いですし、お化粧ポーチもそのままでは入らないことも。
お財布は小さいものに入れ替える。メイク用品は最小限に厳選する。サブバックを持参する。など工夫しましょう。
お化粧室~気になる、トイレのこと。
卒業の袴は、ロングスカートタイプ。着付の後でも楽にトイレに行けます。
袴、着物、長襦袢、肌着の順番にまくっていきます。袖が床につかないよう、気を付けましょう。
着付けをしてもらう時、着付け師さんに質問してください。どうやって袖をもつとか、袴の裾をあげるとか、丁寧に教えてくれるはずです。
着くずれ防止
袴で一番多い着崩れは、裾を踏んで袴がずり下がる状態です。画像のように裾を持ち上げるようしてください。階段では特に気を付けてください。
また、椅子に座るときも都度、意識しましょう。このように、後ろのすそを持ち上げるように着席してください。
その他、衿元にスマホをいれない。ショルダーバックを肩掛けしない。当日はおしとやかに、大股で歩かない、走らない、階段を降りるときもおとなしく。
もっていると便利なもの
ヘアピン
春は強風が吹くことも。ヘアピンを数本、ポーチの中に準備しておきましょう。毛先をとめる。髪飾りを固定する時にも便利です。
サブバック
卒業式後は荷物が増えます。かわいいエコバックがあると便利かも。
毎年見かけるトラブルをもとにまとめてみました。楽で美しい袴姿のためには、一見関係ないように思えますが、下着に配慮する、着くずれしない所作を知る、前日にちゃんと寝ることなども、とてもたいせつ。一生に一度の卒業式。思い出に残る素敵な卒業式を過ごしてくださいね。
筆者プロフィール
着物好きが高じて、DTPデザイナーから着付講師へ転身。年間約8割を着物で過ごしている。2004年より、東京都内にて生徒とのコミュニケーションを大切にした、少人数制の着付教室は現在も進化中。