現代のキモノ女子へ向けて、わかりやすく着物を解説する着付講師のブログ

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キモノ日和は旅気分

☆春夏秋冬いつでも履ける便利な下駄☆初心者さん向け下駄の合わせ方や履き方10の質問

下駄をはくのは浴衣だけ?いいえ、下駄は一年中履けます!でも、間違った合わせ方をしたくない、と心配する人も多いです。

浴衣でも、小紋や紬でも、自由にはける下駄こそ、初心者さんにおすすめの和の履物です。

筆者がお教室でよく生徒さんから聞かれることを、10の質問にまとめました。軽くて歩きやすい下駄を履きこなしてくださいね。

秋冬に着物で下駄はおかしくないの?

下駄は、カジュアル着物に合わせて、季節問わず重宝する便利な履物。筆者はいつも下駄でお出かけしています。

「下駄=浴衣」と思っている人が多くて、「草履を持っていないから、着物でお出かけできない」と言われますが、「その下駄でお出かけしてください。」っておすすめしてます。

時代劇見てると、庶民は年中下駄履いてますよね?下駄の鼻緒が切れて困っていると、手ぬぐい裂いて、直してくれる…昔は、下駄がスタンダートだったんです。「浴衣のみ」と思われるようになったのは、最近のことです。

↑秋の着物と下駄のコーディネート

↑冬の着物と下駄のコーディネート

↑春の着物と下駄のコーディネート

夏着物と下駄のコーディネート

↑浴衣と下駄のコーディネート

 

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草履と下駄は何が違うの?

靴に当てはめると下駄はスニーカーやサンダルで、草履は、パンプスや革靴。結婚式や成人式の着物には、草履です。浴衣やふだん着物には下駄をはいてもOK。

下駄と草履は材質が違います。草履の材質はコルクや革(ビニール・ウレタンもあります)で、下駄は木製です。

歴史的なことをいうと、本革草履の登場は昭和10年くらい。それまでは下駄が中心でした。そのころ、都市では道路が舗装され、人々の好みも、下駄から草履へ変わっていったのです。

下駄は木製の台

草履は革製

草履の断面。履物屋さんでみせてもらいました

 

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下駄を履いてもいい着物は?

下駄をはいてもいい着物

  • 浴衣
  • 綿の着物
  • デニム着物
  • 麻の着物
  • 絣の着物
  • 正絹の紬
  • 正絹の小紋
  • ポリエステルの小紋
  • ビンテージ着物
  • 色無地(家紋なし)
  • 江戸小紋(家紋なし)

下駄NGの着物

  • 振袖
  • 留袖
  • 喪服
  • 卒業袴
  • 訪問着
  • 付け下げ
  • 色無地(家紋あり)
  • 江戸小紋(家紋あり)

 

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下駄のサイズは?

着物に慣れていない人は、「自分のかかと」と「下駄の端」が揃う「ぴったりサイズ」がおすすめです。ネットで購入する人は、ショップが表示しているサイズを見て、自分の靴のサイズを注文してください。

サイズはお店により違いますが、以下を参考にしてください。

フリーサイズ:24cm前後
Sサイズ:~22.5cm以下
Mサイズ:23.0cm~24.0cmくらい
Lサイズ:24.0cm~25.0cmくらい
LLサイズ:25.0cm~

この記事を読んでいるのが中級者さん以上の場合、もうちょっとサイズのお話を深めて、説明します。

和の履物は、24㎝という大きさだけでなく、「台の大きさ+鼻緒のキツさ」でサイズが決まります。

どういうことなのかというと、鼻緒が硬くて指が入りにくいと、同じ台の大きさでも「大きめ」を選ばなくてはなりません。下駄の場合は、昔は、鼻緒のキツさを調整してもらって、サイズを合わせていました。

指の太さや甲の高さには個人差がありますから、鼻緒がきつかったり、歩きにくいと、草履屋さんに相談します。現在では鼻緒の調節は一般的ではありませんが、頼めば履物屋さんで調整してもらえるはずです。

靴のサイズだけで、和の履物を選ぶ場合、失敗する可能性があるのはこのためです。下駄選びに慣れない人は、店頭でサイズを確認してもらうと安心です。

 

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下駄は小さめって言われたけど?どっちがホント?

初心者さんは、先ほどの説明通りぴったりサイズがおすすめです。草履を履いて、草履台の後ろとかかとの端が同じがいいでしょう。

着物や下駄のの歩き方に慣れてきたら、かかとより1センチ‎くらい小さい履物がおすすめです。慣れてくると、この方が履きやすく、誤ってかかとで着物の裾を踏むこともありませんから、着崩れも防げます。

大きすぎる下駄は、子供っぽく見えるので気を付けてくださいね。

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浴衣の時、足袋をはいてもいいの?

実は決まりはないんです。答えは、履いても履かなくとも両方、正解

最近は、浴衣でも長襦袢を着て大人っぽく着たい人が増えてきました。長襦袢を着て半衿を見せた着付けをするときは、足袋を履いた方が、バランスがいいという考えが多いと思います。

他にも、足袋をはいている人は下のような理由からです。わりとみなさん、自由に履いてます。

  • レースの足袋や柄のかわいい足袋をはきたかった。
  • 足袋を履くと、「浴衣」→「夏きもの」風になると思ったから。
  • 浴衣売り場ですすめられた。
  • 靴擦れが痛かったので、足袋を履いた。
  • もう素足が美しくない年齢だから。
  • いつも着物で足袋を履いているから。足袋に慣れているから。

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足袋を履いた時の、浴衣の裾の長さについて

裾の長さを変えると、トータルバランスが整うのはご存知ですか?

足袋の時は、浴衣や着物の裾をやや長めに。くるぶしがしっかり隠れる長さで、足袋と浴衣の間の肌が見えないように着るとおしゃれです。

足袋を履くときは、裾の長さはやや長め。右端は上に持ち上げます。

素足の時は、やや短めに。くるぶし丈くらいが、かわいいです。短すぎると子供っぽくなるから、ほどほどに。

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浴衣の下駄 VS 着物の下駄。違いはあるの?

筆者が教わったのは、「浴衣の時は塗りの下駄。足袋の時は白木の下駄。」

白木は塗装がされていない下駄台のこと。汗や皮脂の跡がつきやすく、水分を吸い込んでシミになったり、汚れやすいです。塗りが施された下駄は水分を弾きますので、素足で履く場合におすすめです。多少の雨でも問題ありません。

白木の下駄

塗装された塗りの下駄

 

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素足で下駄を履いて痛い時は?

痛い下駄の原因は、

  • 鼻緒が素足にすれて痛い
  • かかとが台の端に当たって痛い
  • 鼻緒がきつくて痛い

鼻緒がすれて痛い時の対処方法
固い鼻緒の時や、皮膚が薄くて弱い人はすぐに靴擦れ(鼻緒擦れ)します。あらかじめ鼻緒の当たる、足の親指と人差し指の間の部分にテーピングしておくと安心。外出先では、絆創膏はって応急処置。

「靴擦れ防止スプレー」「鼻緒カバー」という商品もあり便利です。アマゾンや楽天で検索してみてください。素足でなく、足袋、レースの足袋、足袋ソックスをはくと直接鼻緒がすれないので痛くありません。

かかとが痛い時の対処方法
小さめの下駄をはいていませんか?下駄台の端が、かかとにぶつかっているから痛いんです。初心者向けは、ぴったりのサイズの下駄。応急処置は、足袋、レースの足袋、足袋ソックスをはくこと。

鼻緒がきつくて痛い時の対処方法
鼻緒に指を入れて、隙間をあけるように引っ張り出します。数ミリでも引っ張り出せると、楽になります。どうしても痛い場合は、鼻緒の調節をしますが、自分ではできません。調整してくれる履物やさんに頼みます。

もし、これから下駄を買う予定の人は、柔かくて太い鼻緒が痛くなりにくいです。

 

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下駄台の種類と履きやすいタイプ

 

下駄台の種類

画像の上から順番に、


駒下駄

二枚歯のシンプルなデザイン。下駄というとこのイメージを持つ人が多いかもしれませんが、最近はこの形をはいている人は少ないです(注:この写真は二枚歯でも雨下駄といわれていたものです)

のめり
二枚の歯の前歯を斜めにカットした形です。下駄は前に倒して蹴るように歩きますが、この形には、より前に倒れやすい。

右近
サンダル感覚で履ける現代的な形。安定感ある上に軽い。

舟形
草履をそのまま下駄にしたようなフォルムの下駄。着地面積も広いため安定感で履きやすい。右近より重め。

 

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履きやすいタイプ

筆者が個人的におすすめするのは、右近形です。歩きやすい下駄のポイントは、下駄台の安定感と鼻緒のやわらかさ。上記の右近形は、安定感があり、軽くて歩きやすいです。鼻緒は、柔らかく太めのものを選んでください。底がゴム貼りの下駄の方が、滑り止めになり、歩行時に静かに歩けます。

 

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下駄禁止の時や場所は?

 

フォーマル着物

下駄履き=カジュアルな服装とですから、フォーマル着物に下駄を履いたらおかしいです。そんな方はいないと思いますが…一応。

 

人の家にあがる時

足袋を着用または持参すれば、だいじょうぶですが、「下駄+素足」がNGです。他人の家など履き物を脱いで上がる場合は、フットカバーや足袋を持参します。

素足であがるのはマナー違反ですから、気を付けて。

 

車の運転

下駄や草履で車の運転をしてはいけません。踵が安定していないと、運転操作の過程において脱落等の不安定な状態が起こり、運転を誤るおそれがあるからです。

 

下駄の音が迷惑になる場所

お持ちの下駄底がゴム付きでない場合、下駄の音が耳障りに響く場所は注意しましょう。高級ホテルのロビーや、クラシックのコンサートなど。

 

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Print子供だった昭和の頃、まだまだ下駄履きは日常にあって、洋服でも下駄をはいてる子や、一年中下駄をはいているおじさんが近所にいました。それで、「下駄は普段にはくもの」という感覚がありました。今では見かけない光景です。若い生徒さんは、下駄=浴衣。なので、「紬や小紋に下駄もかわいいよ。」って説明しても、かえって難しく考えてしまうようで…この記事を書きました。下駄は軽くて履きやすく、少しの雨でも神経質にならなくても良い、気軽なはきものです。元気よく下駄を履いてお出かけしてくださいね。

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筆者プロフィール

着物好きが高じて、DTPデザイナーから着付講師へ転身。年間約8割を着物で過ごしている。2004年より、東京都内にて生徒とのコミュニケーションを大切にした、少人数制の着付教室は現在も進化中。

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