12Aug
家族が残した着物すべてが「今、自分にとって価値ある着物」ではありません。
この記事をご覧になっている方は、ご自分や家族の着物の整理をしようとしたけど、なかなかむずかしい。と思っている方だと思います。
そこで、実際に筆者(以下、着物コンサルタント)が行っている「出張着物整理」について、何ができて、何ができないのか。所要時間と料金は?実際の流れなど、説明します。
着物整理は、着物のルールに沿って
- これから使うもの
- もう使わないもの
- いつか使うかもしれないもの
を正しく分類していく作業です。どうぞご参考になさってください。
目次
着物整理を着物コンサルタントに頼む場合~内容や料金など
ネット検索すると、たくさんのサイトが出てくると思います。お店で出張してくれるところ、買取まで行うところ、個人で請け負っているところなど。時間やサービス内容と費用は、大きく違いがあります。
この記事では、筆者が行っている「出張着物整理」に限定して説明します。
着物コンサルタントがお客様のご自宅へ出張して作業するのは、3時間~5時間。
着物のある場所へ伺うので、モノの移動も、外出の手間もありません。短時間で集中して着物断捨離|着物整理をしたい方におすすめです。
出張着物整理の内容
- 着物の状態の確認—〇
- 着物のサイズの確認—〇
- 全てのアイテム(着物,襦袢,帯,コート,帯締め,帯揚げ,バック,草履)の種類の確認—〇
- コーディネート、着物ルールの説明—〇
- リメイク、リフォームの取り扱い—△(事例のご紹介のみ)
- 和裁師、クリーニングへの仲介—△(事例のご紹介のみ)
- 着物のお直し—X(お直しを受け付けていません)
- 着物の買取—X(買取はいたしません)
所要時間
3時間(5時間まで延長可能)
着物整理するおおよその数量
3時間の着物整理で、
- きもの約10枚
- 帯約10本
- 長襦袢2枚~5枚
- コートや羽織2枚~5枚
- 帯揚げ、帯締、草履、和装小物
以上の分類と状態の確認、お出かけできるコーディネート提案をいたします。
料金
3時間 13,500円~
着物整理を自分でするかどうかの判断
自分で着物整理を行った方がいい場合と、着物コンサルタントに頼む場合はどう違うのでしょうか。
自分で行えると判断できる場合
- 自分の着物を整理する場合
- ある程度、着物の知識がある場合
- 着物に詳しい方が近くにいて、手伝ってくれる場合
少々わからないことがあっても、調べながら作業できる方は、自分で着物整理ができるでしょう。
思い出の品なので、整理するプロセスまでもたいせつに、じっくりと時間をかけたい!とお考えの方も、ご自身で向き合った方がよいかもしれません。
着物コンサルタントにお願いした方がいい場合
着物整理の基本は分類して「いるか」「いらないか」の判断です。「使えるか」「使えないか」で堂々巡りをしていると、いつまでも着物整理は先に進みません。自分でできない方は、人に頼んだ方が時短になります。具体的には、以下は頼んだ方がいいケース
- 譲り受けた着物の整理
- 祖母、母、叔母、自分の若い時の着物など、持ち主が複数ある場合
- サイズや好み、仕立てた時代がばらばら
- 着物整理の後に、姉妹で着物を分ける等の場合
持ち主がばらばらだと、サイズの見極めから、きものと襦袢が合っているかなど、詳細にチェックしなくてはなりません。着物に慣れている人でも一苦労でしょう。
姉妹や親戚同士など、複数でわける予定の方もプロに任せましょう。サイズや年齢に応じた色柄のアドバイスを求め、その後、当事者同士で判断してもいいと思います。第三者が入る方がスムーズにいくケースも多いと思います。
最初の道筋をたててもらい、その後ご自身で取り組まれてもいいと思います。
着物整理を依頼する場合の全体の流れ
具体的には以下のような流れです。
- たんすの中の着物をすべて出す
- きもの・帯・襦袢・羽織などの確認と分類
- 帯締め、帯揚げを判断する
- 下着類、紐、帯枕などの和装小物の有無を確認
- きもの・帯・小物をコーディネート
- お手入れ相談 (サイズ直しやシミ抜き、クリーニング方法など)
- 着物のサイズアドバイス
- 収納アドバイス
- たたみ方のご指導
- リフォームやリメイクのご提案
個別の作業内容
着物の状態の確認
布や糸が劣化していないか。表地と裏地のシミはどうか。ヤケがないかどうか。虫食いがないか。匂いがないか。カビがはえていないか。
古い着物の場合は、「今の着物センス」とかけ離れていないか。を見ながらお客様と相談します
帯やコート、草履なども着用可能かどうか確認します。
着物のサイズ確認
紐で試着をして、身丈(着物の長さ:おはしょりがでるかどうか)、身幅(着物の幅:歩いた時、はだけないかどうか)、裄(袖は手の長さと合っているかどうか)をチェックし、以下のようにお知らせしています。
- 適正寸法
- 気持ち小さいけど、着用可
- 大きすぎる、着付けが難しい
- 幅が狭いので、着崩れが心配
- 人に着せてもらえるなら許容範囲内だけど自分で着付けをするなら、きれいに着られない
- 着用不可
お直し必要なものは、そのアドバイスをします。
アイテムの種類の確認
着用に必要なすべてのアイテム(着物、長襦袢、帯、コート、帯締め、帯揚げ、バック、草履)の確認&説明。
コーディネート
お客様の年齢と好みに合わせ、ちゃんとお出かけできるように、トータルコーディネートをします。冬物か、夏物か。カジュアルかフォーマルかも、細かく確認します。
最後は写真を撮ってお客様に保管していただきます。
着物のたたみ方
初心者の場合、動画や本をみて、着物をきれいにたたむのは難しいです。できるまで、何度もご指導します。
着物お手入れ方法、収納方法
適切な収納方法、お手入れ方法をアドバイスします。可能な場合、実際の収納場所を見せてもらって、お客様のお部屋の状況から判断します。
その他のアドバイス
今後のきものとの向き合い方をアドバイスをいたします。
- 着物のお約束事
- 半衿の付け方
- クリーニング店に着物を持っていくときの注意事項
- 着物のお直しの方法と概算見積
- リメイクやリフォームのご提案など
オーダー例*50代のお客様:娘に引き継ぎたい
「母が着ていた着物、両親が作ってくれた着物を整理したい」50代のお客様です。
若い時に作った着物が多数あるが、結婚した娘に渡せる着物を見て欲しい、できれば、50代の今の自分が着られる着物も数枚残したい。とのリクエスト。
「自分が管理できる範囲の枚数に減らしたいんです」とお客様。半数以上は断捨離するのが目標です。
たんすの中の着物をすべて和室に移動します
たとう紙の数量は40枚ほどです。着物、帯、小物類を和室に運び出しました。
一枚一枚着物の種類を説明します
お父様が普段に着ていた紬や、お母さまの礼装、お客さまが子供の時の着物など、お客様が認識されていなかった着物まで、たくさんのものが出てきました。
異なる時代の、持ち主もいろいろな着物たち。着物を広げて種類を確認することが最初の作業です。ご家族の思い出がつまっていますね。
着物の次に、帯や羽織も広げて説明しつつ、アイテムごとに分類します
帯や長襦袢、羽織やコートもアイテムごとに分類。昔の方は羽織が多いですね。着物の数と羽織の数が同じくらいです。夏物、冬物、礼装、普段着と、どんどん分類をすすめます。
状態の良いもの、お好みに合う着物を仕分け作業に入ります
状態のよい着物の中から、気に入っているものを選んでいただきます。
お客様がお似合いになるだろうというお着物もおすすめし、試着してもらいました。「アドバイスがなかったら、選ばなかったと思います。」また、お嬢様が着られるだろう、将来的にお孫様も着ていただけるものも仕分けします。
お客様のサイズの合う着物を選り分けます
試着していただき(お着付けをして)サイズの確認をしました。お客様のご希望により、大がかりなお直しが必要なものは処分の対象としました。このまま着られるものを優先させます。
不要な着物は潔くごみ袋へ
もともと、お片付けレッスンを受けたことのあるお客様。断捨離の姿勢がはっきりされている方だったので、判断が潔く、不要なものは処分用の袋へどんどん移動。
残した着物のコーディネート
襦袢、着物、帯までのコーディネートをご提案。ひとつずつ写真にとられて、保管されます。20代にお嬢様用に残す一式は、変化結びなど、着付けで変化を持たせられることなどを説明。
帯〆や帯揚げの小物類が不足していましたが、将来的に購入するということで、リストを作成。
着物のたたみ方の説明し、着物整理は完了しました
たたみ方をご指導し、新品のたとう紙に入れ替えました。この時点で2時間延長。トータル5時間に及ぶ着物整理でした。そのままタンスへ戻されるということでした。
オーダー例*20代のお客様:センスよく少数精鋭に!
「母と義母の着物が大量にある。自分のライフスタイルと好みに合わせておしゃれな着物だけを残したい。」というオーダーです。数か月前にお姉さまからのご依頼があり、この日は妹さまのお宅へお邪魔しました。
メールにて事前打ち合わせをします
お客様のご希望で、事前に収納グッズを揃えてもらいました。新しいたとう紙40枚と、たとう紙収納ケースです。整理をしながら入れ替えもできたので、効率よくすすめられました。
リビングに段ボールが積み上げられています。まずは開梱からスタート
リビングには段ボールに3箱の大量の着物。着物は古いものが多いものの、状態はいいです。丁寧に保管されてきたんですね。ビンテージの柄が若いお客様にはかえっておしゃれ。お好みにも合っているようです。
残したい着物の方向性を伺います
ライフスタイルについてヒアリングしながら、今後残したい着物の方向性をさぐっていきます。
お子様の通過儀礼で母親として使えそうな礼装と、ふだんの着物を残すことになりました。合わせる帯や小物も記録に残し、わかりやすいリストを作成したいというご希望です。
たとう紙をすべてひらく
段ボールからたとう紙をすべて出して、着物を広げます。
気楽な状態で、好きか、嫌いか、直観で判断してもらう
まずは、絶対に着ない着物を外していきます。ご自身のお好みがはっきりされていますので、直観で即断できました。その間、こちらでは、帯、羽織、襦袢と種類別に仕分けをします。
この段階では、まだ決められないお客様も多くいらっしゃいます。その場合は、先に着物の種類や状態を説明しながら、お似合いになりそうな着物をこちらで選別・ご提案させていただくこともあります。
残した着物からさらに厳選
お客様の残した着物は全部で15枚でした。状態は良好か。サイズはあっているか。TPOに沿っている着物か?試着しながら一枚一枚判断。6枚に絞りました。
同時に長襦袢もセットにしておきます。ここまでの所要時間は約2時間です。
残した着物に合わせて、帯を判断する
普段用の名古屋帯、礼装用の袋帯を整理。デザインや締めやすさ、使い勝手の良さなどから、帯も最小に絞り込んでいきます。中には、アンティークの素敵な色柄の帯もありお気に入りのようでしたが、見えるところにシミがあり、全体的な汚れがあり着用は断念。保留の箱へ入れて次の作業に進みます。
合わせる帯締め、帯揚げを判断する
複数の帯締め、帯揚げがあり、その中でベターと思われるものをコーディネートして残します。小物類は、ちょっとくたびれていて、ベストとは思えませんでしたので、その旨、率直にご提案しました。
コーディネートの参考のため、コンサルタントの私物を持参しています。参考として、合わせやすい色、おすすめの色、参考価格帯などのアドバイスをいたしました。
羽織、コートまでコーディネート
コートや羽織も、用途、ドレスコードがあります。寸法も確認しました。
履物の試着
お客様の手元に残っていたものが、爬虫類皮のおばさまのお草履一足。新品でしたが、30年以上古いもの。鼻緒も固く、試着してもらいましたが、サイズもあっていません。これは断念することに。
礼装用(フォーマル)草履、ふだん用(カジュアル)草履の違いを説明。使いやすいタイプのお草履をご紹介しました。
ここですでに基本の3時間経過。1時間延長されることに。
下着類、紐、帯枕などの和装小物の有無を確認
紐などの和装小物は、複数の中から一番使いやすいそうで、きれいなものを選びました。下着は洗い替えに二組残し、足袋はお客様の足のサイズと合っていないので、新規購入リストへ。
お手入れやリメイクのご相談 (サイズ直しやシミ抜き、クリーニング方法など)
処分する予定の着物の中から、リメイクに適したもの、リメイク方法などを写真をお見せしながらご提案しました。
お手入れに関しては、しみ抜き、サイズ直しの必要な着物が何枚がありましたので、クリーニングの出し方をご説明します。お預かりはできませんが、たいだいの金額をご参考までに。
たたみ方のご指導
たたみ方をお見せして(Kさま、動画をとってました)その後、実際にたたんでもらいます。テキストや動画ではわかりにくい、衿の部分や、たとう紙への入れ方など、 「そういうことだったんですね」と、納得のご様子でした。たたみ方などは、対面でご説明するのが一番早いですね。
一枚ずつたたんだ後は、新品たとう紙に入れ、専用の収納ケースに入れて着物整理は完了です。
お申込み方法
着物整理の詳細をさらにご覧になりたい方、 着物コンサルタントの出張着物整理のお申込みはこちらからどうぞ。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
人は、高齢になるとモノを処分できなくなります。思い出のつまった着物を捨てるのがもったいなくて、大事にしまっておく、または、もう捨てる気力もなくなっていた。などの理由により、家族の遺したたくさんの着物が実家に眠ったまま、という方はたくさんいます。
それらの着物を効率よく分類して整理するのは、ネットで得られる一般的な知識以上のものが必要。生前整理として、家族に残しておきたい着物を厳選する場合も同じ。時代が違えはトレンドも違いますからね。
モノは使う人が価値を認めてくれて、はじめて意味があるもの。残す着物の価値の裏付けも重要。着物整理労力も時間もかかりますが、正しく分類・整理して、眠っているお着物を活用していただきたいです。
筆者プロフィール
着物好きが高じて、DTPデザイナーから着付講師へ転身。年間約8割を着物で過ごしている。2004年より、東京都内にて生徒とのコミュニケーションを大切にした、少人数制の着付教室は現在も進化中。